2014.12.02 Tuesday
『優しさを越える』決意
旅立つあの人に 伝えたかったことがある。
本当は ありがとうと伝えたかった
毎日でも 口にしたかった
ハートをひらいて
くもりない笑顔で
お腹の底から
ありがとうと言いたかった。
それが出来なくて ずっと苦しかった。
悲しみと 罪悪感が
みぞおちのあたりに 降り積もっていった。
言えない理由は いくつかあった。
言葉にならない複雑な思いまでふくめれば
いくつも あった。
どの思いも 本当は
愛につながっていた。
忍耐強い愛だったり
自己犠牲的な愛だったり
生真面目な愛だったり
臆病な愛だったりした。
魂は愛でいっぱいなのに
それをうまく伝えることができないから
私はいつからか 泣けなくなった。
泣くことさえ 自分に許さないくらい
潔癖な愛で生きていたと思う。
話しは変わるけれど そういえば、
子供の頃に
母が愚痴をいうところや 泣くところを見た記憶がない。
そんな母が、
ここ近年『もう、なさけなくて・・・』
と、電話越しに泣くことが 何度かあった。
そうやって涙が出せるまでに、
70年近くかかった母。
それほど長い間、
母は悲しみを飲み込んできたんだ。
私の中には、
そんな母の悲しみまでもが
静かに降り積もっていたのだと知った朝。
色んな出来事、色んな記憶が
強くて弱い 今の私を
作って来たのは確かだけど
これからは、
『悲しみから来る優しさを 越えた私を生きたい』
そんなことを思った12月のはじまり。